5 11, 2003
IT 武装資本主義

米国がネオコンの主張をもとに先制攻撃を仕掛けたイラク戦争。今回の米国の短期勝利を、IT 武装の差にあった点をわかり易くまとめたコラムが、日経ネットにあった。ちょっと前の記事ではあるが、まだ読んでいない方の為に。「イラクの IT 敗北 ~シリコンバレーから~

圧倒的な IT 能力を備えた軍事力を背景に、米国は今後も米国が問題視する国家への圧力を強めて行くことだろう。今回米国が、大量破壊兵器保有疑惑だけでイラク攻撃を強行した背景には、早期に、フセイン政権による将来起こるかもしれないテロ問題の芽を摘むという理由の他に、米国 IT 兵器のすさまじい進化を戦場のテレビ同時中継なども駆使し世界中にショウケースとして見せつけ、圧倒的な軍事パワーを誇示することで今後の世界戦略のベースにする、という意味が強かったのではないか。

しかし、問題は、その裏側ですさまじいメディア統制が、戦後の今も行われているであろうこと。米国軍がバグダッド侵攻を行った映像は豊富にメディアに流れ出てきていても、戦争の悲惨さをダイレクトに伝える市民被害の映像や声は、欧米のメジャーなマス・メディアで多くは紹介されない。インターネットの小規模メディアの中にそれは分散して存在するが。米国の IT 武装資本主義は、今回の戦争を契機に、さらなる予算がついて、進化を遂げることになるのだろう。しかし、今回の戦争の問題点を、メディア統制がかからない小規模メディアを通じて検証する姿勢も、継続して行く必要があるだろう。War Blog で言えば、Back in Iraq 2.0 の様な。

真実というのは、利害関係が異なる多様な視点を検証した上でないと、見えて来ない。シリコンバレー在住日本人の安藤氏は、この視点をしっかり持って居られる様だ。

Posted by minami at 5 11, 2003 08:26 AM | TrackBack
Comments

昨日某A藤さんが我が家のBBQに登場されたので、最近のちょっと過激ムードのコラムの内容に関していろいろ尋ねようと思っていたのですが、ワインの品揃えの良さに負け早々にへべれけモードとなられたので、まじめな話はできずに終わりました。次回来谷の際はよろしければ一緒に食事でもいかがですか?本人を知ると記事の読み方がまた深まりますよね。

Posted by: hitoshi on 2003年05月12日 06:16

A 藤さんは、弊社の人間の知人で、東京で一度だけお会いしたことがありますが、ご挨拶程度でしたので、是非またお話する機会を頂き度いですね。hitoshi さん、いろいろ有難うございます。御来日予定は延びてしまった様ですが、また決まられたら東京で飲めるラーメン屋に行きましょう!

戦争報道に関しては、昨日深夜日本テレビで、同局のイラク戦争時の報道姿勢に就いて、東京のキャスター、ニュース報道局・編集担当のスタッフ、現地(バグダッド・アメリカ軍従軍記者)の全てが集まって討論する興味深い番組をやっていました。

現地スタッフは、限られた視点から、イラク・アメリカそれぞれの報道管制下にあることを承知の上で素材となるニュースを発信、その編集・ニュース放映方針は東京の報道局に委ねられました。結果、米国の大手メディアほどではないにしても、市民被害や兵士の映像などに就いては放映の自主規制を行っていた事を、東京の報道局のスタッフが認めていました。

ショッキングな映像を子供に見せたくない、イラク・米国それぞれの政府の意図のあるプロパガンダに容易に乗りたくない、という考えから苦労して映像を取捨選択し、放映していた様ですが、結果的に、ソース情報量の豊富さもあって米国寄りの映像が多く流されたことを報道関係者も認めていました。

注目されたのは、バグダッド現地取材のアジアプレス社の担当者達が、現場での一次情報の収集に専念しながら、一方でこの戦争の「米国側により作られたシナリオ」を理解していた点。欧米メディアが集結したパレスチナ・ホテル前に、バグダッド侵攻した米英軍が集結、フセイン銅像が民衆に倒されることで戦争の終焉が象徴的に示される、というシナリオは、同地プレスの間では事前に想定されていたとのこと。ズームアップ映像で多くの民衆がフセイン像に集結している様に錯覚される映像も、実は像のまわりだけでそれ以外の広場周辺は閑散としていた様子も、やはりアジアプレス社の写真映像から明確に示されていました。CIA による民衆扇動説はやはりあり得べし、という気がしてしまいますね。

さすがに、日本や米国の政府機関から、報道方針に対する圧力があったのかどうかについては言明されませんでしたが、東京側にはそれが無かったとは言い切れ無いのかもしれません。こういう討論を、関係スタッフ総出で行う日本のテレビメディアには、報道への積極的な姿勢を感じることが出来、討議の内容の深さはともかく、興味深い番組になりました。

日本のテレビメディアはそれでも、市民被害や兵士の死体などの映像を、アルジャジーラのものや自主取材のものを放映していましたが、米国内では戦時下これらは放映されなかった様です。戦争当事国として情報をコントロールすることは戦略の一部になりますから、マスメディアだけではやはり真実は得にくい。やはり多くの一次情報を提供するメディアを広くアンテナを張って持つことで、個人個人がニュースの真偽を判断しなければなりません。一次情報の収集手段としてのインターネットは、非常に重要な意味を持って来ることになりますね。

Posted by: minami on 2003年05月12日 08:59
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