5 22, 2003
神田のショートケーキ革新の店、小鍛冶(こかじ)

しばらく神田 B 級グルメシリーズが続いたが、そのしめくくりとしては、ここ数年通っている神田の有名洋菓子店、「小鍛冶」を御紹介したい。

JR神田駅北口から徒歩1分の距離にあるこのケーキ屋で、一人700円ナリのケーキ・セットを食べつつ、神田 B 級グルメ談義を展開する、最近はそれがパターンになっている。M氏行き着けのこの店は老舗だとは聞いていたが、たまたま店長さんから直接、その歴史を紐解いてもらう機会に恵まれたので御紹介したい。昭和の香りが漂うこの神田下町の老舗ケーキ店は、実は昭和30年代には、ショートケーキのイノベーターだった。

終戦の年、昭和20年創業と良く言われている小鍛冶だが、創業時は床屋さんと甘味処、その二つが小鍛冶の創業者により開店。甘いモノが少ない時代に、甘味処は非常に人気があったのだろう。鍛冶町の近くにあるから「小鍛冶」と店名がついたのかと思ったら、それも勿論あるが、創業者が気に入っていた京都の歌舞伎役者の名前が「小鍛冶」なのだそうだ。粋な店名のつけ方である。

やがて、昭和30年代になって、小鍛冶は洋菓子店に衣替えする。そして、苺と生クリームをふんだんに使った「ショートケーキ」の販売を開始した。当時、ケーキを陳列する大型の保冷ショウケースがあまり無かった時代に、小鍛冶はそれを早期に導入、「ショートケーキの小鍛冶」の名前はこれで一躍有名になった。


その後、お酒好きの創業者が今から15年ほど前、洋菓子店の地下に、神田では先駆けとなるショット・バー、Bar Kokaji を開店した。お菓子屋さんと Bar が同居するというのは、全国的に見ても珍しいかもしれない。近年はいろいろあって、小鍛冶のオーナーは数年おきに変わり、数店展開した店舗戦略も今は神田北口の本店一店と姉妹店の銀座の Bar に絞り込まれ、現在に至っているのだそうだ。

神田の老舗洋菓子店には、ちょっぴり波乱に富んだ歴史があった。しかし、そういう変化を経ながらも、創業以来人気のショートケーキと、追って人気が出たというカスタード・シュークリームは、昔ながらのレシピで作られ、安定した人気を誇っている。個人的には、しっとりとした味のこのシュークリームと、カプチーノの組み合わせがオススメである。

たまには神田で、昭和の激動を駆け抜けたケーキ屋の歴史に思いを馳せるのも良いかもしれないですぞ。

Posted by minami at 5 22, 2003 12:41 AM | TrackBack
Comments

南さん、ひとつだけ薀蓄を補足させて下さい。元祖が神田の「小鍛治」かは意見のわかれるところですが、ショートケーキは洋菓子だから舶来品と思いきや日本の発明品だということ。NYの有名店で人気のあるショートケーキは実は日本の誇る甘味だったのだ。寿司、てんぷら、しゃぶしゃぶ、だけじゃないんだね。それにしても戦後間もない頃にショートケーキなんてのは庶民の手の届くお菓子ではなかったはず。「贅沢は敵だ」を皮肉をこめて「贅沢は素敵だ」と言っていた象徴だったのかも知れない。これを食べられるようにと当時の日本人はがんばったんだね。やはり日本再生には、まず何事にもハングリー精神が必要なのかも知れない。

Posted by: 明治 on 2003年05月22日 01:43

ショートケーキが日本の発明品だった、というのには、昨日明治さんから聞いて本当に驚き、日本人の誇りとして嬉しく思ったことでした。そうそう、それを書くのを忘れていた。ナイス補足、有難うございます。

21世紀、デフレ不況にあえぐ日本を救う、ショートケーキに代わるハングリーな発明品は何なのでしょうね。

りそな国有化など、不安を煽る話題が多い昨今でありますが、草の根で脈動している元気の源を、探して参りましょう。

Posted by: minami on 2003年05月22日 08:23
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